昇華転写印刷(昇華プリント)とは?使用できるグッズや作成工程

皆さんは「昇華転写印刷」をご存知ですか?
別名「昇華転写プリント」とも呼ばれていて、
主にのぼり旗やタペストリー、応援幕、のれん、クロス、
Tシャツなどに使用されている印刷方法です。
あまり耳慣れない言葉なので、どういう印刷なのか気になってしまいますよね。
今回は、昇華転写印刷の工程やインクジェット印刷との違い、
メリット・デメリットについてご紹介したいと思います。
1.昇華転写印刷(昇華プリント)とは?
昇華転写印刷とは、熱を加えて、
生地にデザインを転写させる印刷方法です。
まず、昇華インクを使用し転写紙にデザインをプリントします。
その後、ポリエステル生地と密着させ、
熱をかけることでインクが気化し、
ポリエステルの生地にデザインを転写させます。
生地自体にインクを染み込ませるので、
プリント面にインクがのった質感もなく、
自然な仕上がりになるのが特徴です。
ポリエステル素材にのみ印刷可能です。

2.昇華転写印刷(昇華プリント)で制作できるグッズの例
ポリエステル生地のほか、ポリエステルのコーティング層がある
陶器にも印刷することができます。
生地の場合、素材感を損なうことなく、
フルカラーで鮮やかな色合いに仕上がります。
また、細部にわたってプリントできるのも魅力。
表現の自由度も高く、オリジナルデザインのプリントに向いていることから、
同人グッズの作成にもよく使われています。
<昇華転写印刷におすすめのグッズ一覧>
- バッグ
- Tシャツ
- スポーツウェア
- 野球やサッカー、バスケットボールのユニフォ-ム
- マスク
- タオル
- マグカップ、タンブラー
3.昇華転写印刷(昇華プリント)とインクジェット印刷の違い
フルカラー印刷には昇華転写印刷以外にも、
インクジェット印刷がありますが、
どんなところが違うのか疑問に思う人も多いはず。
昇華転写印刷は、昇華インクと転写紙によって
デザインを生地に転写する方法なのは前述のとおり。
一方、インクジェット印刷とは、生地に直接インクを吹き付けて
染み込ませる印刷方法です。
衣類のほか、紙媒体にもインクジェット印刷が使われています。
昇華転写印刷は、ポリエステル100%の生地にしか印刷できないのに対し、
インクジェット印刷は、ポリエステルなどの化学繊維では、
インクがはじいてしまうためあまり向いていません。

4.昇華転写印刷(昇華プリント)のメリット・デメリット
昇華転写印刷は近年主流のプリント方法の一つで、
たくさんのメリットがある一方、押さえておきたいデメリットもあります。
ここからは、昇華転写印刷のメリットとデメリットを解説しましょう。
メリット① 色の発色が鮮やか
昇華転写印刷の特徴は何といっても、発色の良さとデザインの再現の高さです。
数多くの色数のデザインやグラデーション、写真のプリントなど、
デジタルデータの色合いを限りなく正確に印刷することができます。
メリット② 素材の風合いを損ないにくい
生地自体を染めるので、素材そのものの風合いを残すことができますし、
インクのひび割れを起こすこともほとんどありません。
繰り返し選択をしてもデザインに影響しない、耐久性の高さもポイントです。
メリット③ 小ロットの制作に向いている
昇華転写印刷は、シルクスクリーン印刷のような版を必要としない印刷方法のため、
小ロットのグッズやノベルティ制作に向いています。
製版代がかからないことから、割安になる場合があります。
メリット④ 美しい仕上がりになりやすい
生地にデザインを貼り付けたような違和感が出にくいのも特徴です。
昇華転写印刷は、デザインを生地に浸透させるプリント方法なので、
プリント面にインクがのった質感が出にくく、自然で美しい仕上がりになります。
デメリット① ポリエステル100%の生地にしか印刷できない
綿や絹などの天然繊維やナイロン生地には十分に定着しません。
また、ポリエステルの割合が減ると定着しにくくなるので、
プリントできる素材が限られてしまいます。
デメリット② 濃色生地には向いていない
白色や淡色などの生地と相性がいい昇華転写印刷ですが、
濃色だとインクが生地に吸収されてしまい、満足のいく仕上がりを得られない場合も。
トートバッグ工房では、ポリエステル100%かつホワイトの生地のみにしか印刷できません。
濃色の生地にプリントしたい時は、シルクスクリーン印刷や熱転写印刷がおすすめです。
デメリット③ プレス跡が残る場合がある
専用のプレス機を使用して圧着作業を行うため、プレス跡が若干残る場合があります。
他の転写プリントに比べかなりの高温での転写となるため、繊維の目が寝てしまい、
多少のテカリが発生してしまいます。
5.昇華転写印刷(昇華プリント)の工程
昇華転写印刷が、実際にどのような工程で行われるのかをご説明します。
①デザインデータを用意
②デザインデータを昇華インクで転写紙に印刷
③プレス機で熱をかけながらポリエステル生地と密着させる
④転写紙を剥がし、完成
その後、トートバッグ工房では裁断や縫製が行われます。
詳しくは動画をご覧ください。
6.昇華転写印刷(昇華プリント)された商品の洗濯方法
昇華転写印刷された商品は、基本的には通常のお洗濯が可能です。
激しい色落ちや印刷のひび割れの心配はあまりありません。
ただし、熱を利用して印刷しているため、
アイロンや乾燥機の使用はできませんのでご注意ください。
再びインクが気化して、色落ちしてしまう可能性があります。
ちなみに、トートバッグ工房で扱っているポリエステル製品は、
洗濯を推奨しておりません。
失敗せずに汚れを落としたい!という方は、
ご自身で挑戦する前にクリーニング専門の業者さんへ
相談してみてくださいね。
7.昇華転写印刷(昇華プリント)対応の商品
トートバッグ工房では、ポリエステル生地にお客様のオリジナルデザインを
昇華転写印刷してカット販売しています。おすすめの生地はこちら。
他にも昇華転写印刷可能な生地がありますので、ぜひご覧ください。
この記事を監修してくれた「トートバッグ博士」

山本 禎久(やまもと よしひさ)
株式会社エーリンクサービス 代表取締役
昭和48年生まれ 福井県越前市出身
趣味は山登りとゴルフ、好きなトートバッグのカタチは「船底クラシックトートバッグ」。
スピードと挑戦を求め続け、社内で誰よりもトートバッグに見識がある。
大阪学院大学を卒業後、営業、物流、製造業務など多くの職種に従事。退職後、2009年に販促バッグ等の製造、輸入、販売を手掛ける株式会社エーリンクサービスを設立。『考える価値創造集団』を経営理念に掲げ、従業員一人ひとりが積極的に考え、行動することでトートバッグ専門店としての新サービスを企画・発信し続けている。
関連コラム
-
シルクスクリーン印刷の版を自作してオリジナルグッズを手作りしよう!
シルクスクリーン印刷の版を自作してオリジナルグッズを手作りしよう!
プロが手軽に入手できる材料でシルクスクリーン印刷する方法を教えます。
お家時間を利用してオリジナルグッズを作ってみませんか?きっと親子でも楽しめると思います。 -
無地のトートバッグを購入するならトートバッグ工房がおすすめな理由
無地のトートバッグを購入するならトートバッグ工房がおすすめな理由
トートバッグ工房では、定番のトートバッグから、サコッシュ、エコバッグ、巾着、ポーチなど種類豊富に取り揃えており、無地で購入が可能です。 無地のトートバッグを購入するなら、トートバッグ工房がおすすめの理由と、いろいろな商品の探し方や人気商品をご紹介します。
-
トートバッグの印刷なら小ロット1個から対応可能なトートバッグ工房がおすすめ!
トートバッグの印刷ならトートバッグ工房をおすすめする理由
トートバッグ工房では、イベントや展示会の販促用、アパレルショップの販売用など、さまざまな用途で年間500万個のご注文をいただいております。トートバッグの印刷なら、トートバッグ工房がおすすめの理由と、お客様の製作事例、いろいろな商品の探し方や人気商品をご紹介します。
-
ノベルティグッズとして、人気のエコバッグを製作しよう!
ノベルティグッズとして、人気のエコバッグを製作しよう!
イベントや展示会のノベルティグッズや、プレゼントとしてエコバッグを製作したいと考えている方必見!素材やカタチ、機能を含め、ノベルティにふさわしい、人気のエコバッグを詳しくご紹介します。エコバッグの素材別お手入れ方法も掲載しているのでぜひ参考にしてみては?